書籍・雑誌

November 28, 2010

『おうちで楽しむにほんの行事』

私が子どもだった頃に比べて、季節を感じることが少なくなったように思うこの頃。でも、子どもには日本人らしい季節感を体験してほしい。そこで『おうちで楽しむにほんの行事』(広田千悦子著 技術評論社)を買ってみました。きれいな四季折々の写真とほのぼのとしたイラストと共に、一月から十二月までの季節の楽しみ方が紹介されています。十二月の小見出しを一つ紹介すると「冬を乗りきるカボチャとユズ湯」といった具合。この本の影響もあり、私はずっとほしかった蒸篭を買ってしまいました。


おうちで楽しむにほんの行事

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January 25, 2010

『沈まぬ太陽』山崎豊子著

興味としては、描かれている内容がどの程度事実なのか気になりますが、この小説の魅力は事実か事実と異なるのかという点にあるのではありません。航空会社を中心として、政、官、財を巻き込んだ闘争、スキャンダラスな人間ドラマを、事実に基づきながらも、小説として再構築し詳細に描き上げているところに大きな魅力があるのです。単行本で5冊のボリュームですが、飽きずに一気に読ませる著者山崎豊子氏の迫力ある筆致に圧倒されました。

1961年、物語は主人公恩地元が、国民航空労働組合の委員長に就任したことに始まります。空の安全を守るために、組合員の労働条件の改善を訴え会社側と闘った恩地は、委員長を2期務めた後、パキスタンのカラチ支店に事実上左遷されます。その後、テヘラン、ナイロビと盥回しにされる恩地。その間にも会社は利益優先の経営に走り、結果として連続事故が起こります。衆議院交通安全対策特別委員会で恩地の不当人事が取り上げられ、10年ぶりに帰国した恩地でしたが、与えられたのは名ばかりの”閑離職”だったのでした。
1985年8月12日、国民航空123便が御巣鷹山に墜落。航空史上最大520名の犠牲者を出します。恩地は遺族係として、現場で、またその後の補償交渉で、遺族のお世話にあたるのでした。
地名、便名、そしてご遺族の方が実名で登場し、「御巣鷹山篇」は、フィクションとノン・フィクションのぎりぎりの境界線を辿るように進行します。日航機墜落事故当時、私はまだ子どもでしたが、TV報道で見た場面の断片や当時感じた衝撃を思い出しました。
事故後、国民航空再建のために、経営陣が官邸主導で一新されます。新会長に就任した国見は、『絶対安全』を掲げて組織改革に邁進。組合問題を解決するために、恩地を会長室のメンバーに抜擢します。国見や恩地、そして心ある社員により、会社の上層部の腐敗、政、財、官の癒着が徐々に明るみに出てくるものの、腐敗の根は深く、ついに更迭される国見会長。そして、小説はクライマックスを迎えます。

あとがきの日付は、1999年8月10日。10年を経て、本書で予言されたかのように、日本航空は経営破綻しました。小説の内容が事実か事実ではないかが問題ではありません。多くの社員の方が真摯に仕事に取り組んでおられるだろうことも、想像できます。社員の方がメッセージを配ったところで問題解決にはなりません。私たち利用者が願っているのは、本当の空の安全であり、これまでに利益を貪った、今でも暴利を貪っているかもしれない人々の反省と償いなのですから。



沈まぬ太陽(1(アフリカ篇・上))

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May 14, 2009

原作『天地人』

2009年NHK大河ドラマの原作『天地人』(火坂雅志著 NHK出版)を読みました。
感想としては、つまらなくはないけれど、面白くもない感じです。
歴史小説と言うと、山岡荘八氏や司馬遼太郎氏の作品のように、武将の生き様に感動したり、男達を陰で支える女性に涙したり、読んでいて血湧き肉踊る小説だと思っていたのですが、『天地人』は少々違います。感動の山場がありません。泣けません。例えるならば『その時歴史が動いた』に代表される歴史番組みたいで、ドラマの間に解説が入り、お勉強にはなるけれど、物語を楽しむものではない感じです。でも、こういうスタイルもありなのだろうと思いました。


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February 27, 2009

『御手洗潔対シャーロックホームズ』

わたしの読書は場依存的です。
職場では専門書を読みます。電車や待合室、喫茶店では随筆やビジネス書を読みます。小説は家で読みます。

『御手洗潔対シャーロックホームズ』(柄刀一著)、時代も国籍も違う、でも超有名な名探偵が推理対決するというびっくりな物語。「緋色の紛糾」「ボヘミアンの秋分」といったサブタイトルからも想像できるように、とても洒落が効いています。どちらも、大好きな名探偵だけに、どんな風に描かれるのか不安でしたが、わりと面白く読めました。



御手洗潔対シャーロック・ホームズ

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February 25, 2009

『私と直感と宇宙人』

人との出会いも偶然ですが、本との出会いもまた偶然です。

先日、時間を潰すため、ふらりと古本屋に入りました。欲しいと思っていた本は無く、(収穫無しかな)と思いながら最後に目に入ったのが横尾忠則著『私と直感と宇宙人』(文春文庫)でした。本が

「わしを手に取れ」

と言っていました。直感で買いました。
横尾さんが有名なアーティストであることは知っていましたが、それ以上に特に興味は無かったのに、買いました。

読んで驚きました。横尾さんは凄いです。宇宙人と交信できることも凄いですが、もの凄く愛があります。人間愛です。宇宙愛です。次元の違う話で理解できないところもありましたが、読み終えると元気が充電されたような感じがしました。きっと大いなる存在の何者かが、横尾さんの本をわたしに送ったのだと思いました。

いつか、岡之山美術館に行ってみたいです。
http://www.nishiwaki-cs.or.jp/okanoyama-museum/

横尾忠則 オフィシャルサイト  http://www.tadanoriyokoo.com/



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January 28, 2009

『死都日本』

石黒耀著『死都日本』を読みました。
霧島火山帯で噴火が起こり、日本が壊滅的な被害に襲われるという物語。地質と火山に関する描写が詳細でリアリティがあり、自分が生きている間に日本のどこかの火山が「破局的噴火」を起こしたら…とちょっと怖くなりました。地質や火山の話題に加えて、『古事記』や『聖書』も繰り返し登場し、理系的にも文系的にも面白いと思える小説です。読んでいて映像が頭に浮かびますし、登場人物が個性的で魅力的ですので、いずれ映画化もあるのではないでしょうか。平凡な一市民の私には想像を絶する物語ですが、でも一番想像が難しいのは、英断をもって日本の危機を乗り越えようと活躍する内閣総理大臣の存在かもしれません。


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December 28, 2008

『人生が楽しくなる気持ちのいい日本語』

通勤は自家用車ですが、用事で電車に乗ることもよくあります。電車に乗るとたいてい片道1時間。新幹線にも乗るとさらに2時間。往復で6時間以上電車に乗っていることもあります。なので、電車に乗るときは必ず本を一冊持っていくことにしています。

『人生が楽しくなる気持ちのいい日本語』(ゴマ文庫)は、職場の先輩から紹介された本。「いいことが書いてあるのだけれど、なんか納得いかない気持ちが残るんだよ」と言われて、どんな本かと読んでみました。著者は萩本欽一さん、あの欽ちゃんです。欽ちゃんが、気持ちのいい言葉のやりとり、会話をするために、ボクはこういうことを心がけているんだよ、と語っている本です。たしかに面白くて頷けるところもあるけれど、それは違うんじゃないかな、と思うところもある、良くも悪くも欽ちゃんのクセが出ている一冊でした。なので、欽ちゃんが苦手な方には、あまりおススメいたしません。

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December 26, 2008

『「あるがまま」を受け入れる技術』

最近将棋にハマっている知り合いの影響か、臨床心理士の河合隼雄さんと棋士の谷川浩司さんの対談集『「あるがまま」を受け入れる技術 なにもしないことが、プラスの力を生む』を買いました。PHP文庫の読みやすい、お手軽な人生の啓蒙書みたいな本ですが、お二人の独特の思想が伝わってきて、面白かったです。目次だけでも、例えば「生きるとは、何かと対局すること」なんてカッコイイですし、「勝負は、毎日の生活習慣の集大成」とは納得の一言です。将棋をキーワードに今の世の中を分析しているようなところもあり、さらりと読めて奥の深い一冊でした。



「あるがまま」を受け入れる技術

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August 19, 2008

『ハリー・ポッターと死の秘宝』

『ハリー・ポッターと賢者の石』を読んだ時、久々に面白いファンタジーだと感じました。『ハリー・ポッターと死の秘宝』を読み終えた今、同じような感覚を味わっています。

全7巻の中に繰り広げられた物語が、この『ハリー・ポッターと死の秘宝』で終焉を迎えました。フィナーレに相応しく、これまでに登場した多くの人物が顔を出し、これまでに提示された様々な謎が解けていきます。まさに圧巻です。読み始めたら止められません、魔法にかけられたように。読みながら、これ誰だっけ?これって何のことだっけ?と思うこともありましたが、それだけJ.K.ローリング氏が多くの人物と事柄を登場させ、関係づけて物語を創り上げたということでしょう。素晴らしいです。作者も、この本を見つけて翻訳した松岡佑子氏も。訳者によるあとがき「不死鳥の歌」に、静かな感動を覚えました。

発売されてすぐに購入し、すぐに読み終えて、すぐに貸してくれた友人に感謝♪


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June 19, 2008

『蟹工船』

巷で話題になっている1929年(昭和4年!)に発表されたプロレタリア文学『蟹工船』(小林多喜二著)を読んでみました。

ちなみにプロレタリアとは、niftyの国語辞典(powered by三省堂)によると

大辞林 第二版より
(1)古代ローマの貧困な下層民(プロレタリウス proletarius)。
(2)資本主義社会で、生産手段をもたず、自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者。また、その階級。無産者。
⇔ブルジョア

なのだそう。

「資本主義社会で、生産手段をもたず、自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者」、このあたりがフリーターやワーキングプアの問題に繋がるのでしょうか。「階級」という言葉もキーワードのよう。格差社会と言われるようになった現代。日本に階級はないけれど、社会は見えない階級で分かれ始めている、だからこそこのような文学が注目されるのでしょうか。もしくは、このような文学に目を向けさせる力が働いているのか。

今の世の中、ここまで労働者を虐待することはありえないでしょうけれど、ここまで労働者が団結して会社や資本家と対決しようという意気込みもないように思います。皆が一致団結しようとする意志は弱いし、失敗しても諦めずに正義を貫こうとする姿勢もあまりない…ように感じます。何となく似ているけれど、やはり時代が違う、と思いました。

では、どうして売れているのか。話題になっているからと買う私のような読者が多いのか。それとも他の読者の方はもっといろいろ考えているのでしょうかね。



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