June 19, 2008
巷で話題になっている1929年(昭和4年!)に発表されたプロレタリア文学『蟹工船』(小林多喜二著)を読んでみました。
ちなみにプロレタリアとは、niftyの国語辞典(powered by三省堂)によると
大辞林 第二版より
(1)古代ローマの貧困な下層民(プロレタリウス proletarius)。
(2)資本主義社会で、生産手段をもたず、自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者。また、その階級。無産者。
⇔ブルジョア
なのだそう。
「資本主義社会で、生産手段をもたず、自分の労働力を資本家に売って生活する賃金労働者」、このあたりがフリーターやワーキングプアの問題に繋がるのでしょうか。「階級」という言葉もキーワードのよう。格差社会と言われるようになった現代。日本に階級はないけれど、社会は見えない階級で分かれ始めている、だからこそこのような文学が注目されるのでしょうか。もしくは、このような文学に目を向けさせる力が働いているのか。
今の世の中、ここまで労働者を虐待することはありえないでしょうけれど、ここまで労働者が団結して会社や資本家と対決しようという意気込みもないように思います。皆が一致団結しようとする意志は弱いし、失敗しても諦めずに正義を貫こうとする姿勢もあまりない…ように感じます。何となく似ているけれど、やはり時代が違う、と思いました。
では、どうして売れているのか。話題になっているからと買う私のような読者が多いのか。それとも他の読者の方はもっといろいろ考えているのでしょうかね。

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May 22, 2008
少し前、宗教学者の山折哲雄先生の講演を聴きました。初めて生でお話を伺いましたが、静かな語り口の中にユーモアと説得力があり山折ワールドに引き込まれました。「日本人の中に寛容な気持ちが薄れてきているのではないか」というお話などは、自分や周囲にあてはめて頷けました。
山折先生のますますファンになった私は、会場で販売されていた本を買いました。『日本の精神性と宗教』というこの本は、天理大学で行われた公開シンポジウムの記録をもとに編集されたもので、山折先生の他、臨床心理学の故河合隼雄先生、宗教哲学の鎌田東二先生、天理大学の橋本武人先生の話が収録されています。
今の日本人は、日本人が昔からもっていたすべての存在に対する畏敬・畏怖の念(=日本人の根本的な宗教性)を失いつつある、そして西欧から輸入した個人主義を利己主義的に捉えて生きている、といったことが書かれています。鎌田先生は、宮崎駿氏の『となりのトトロ』と『千と千尋の神隠し』における神様の扱われ方の違いを例にあげ、そのあたりを分かりやすく説明しています。
あとがきでは、「現代の日本社会がかかえるこのような心の諸問題を検討するとき、私たちは日本文化の伝統的な精神性を振り返り、そのなかでも宗教、あるいは宗教的なものに再度注目する必要があるのではないだろうか」とまとめられていました。
天理教とは縁も縁もないですし、宗教にも詳しくない私ですが、特定の宗教ということではなく日本人が本来もっている宗教性という観点から多くが論じられているので、面白く読むことのできた一冊でした。

日本の精神性と宗教
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April 17, 2008
女を描くのはやはり女。
宮尾登美子氏の『天璋院篤姫』は、共感しながら読める歴史小説でした。特に後半、江戸から明治への激動の時代に、天璋院が大奥を、そして徳川家を叱咤激励し支える様は圧巻。小説の中にも出てきますが、尼将軍北条政子を思わせる迫力です。そして、短い結婚生活だった夫家定への思い、徳川家宗家の嫁であるという立場、さらに嫁となる皇妹和宮との確執と和解などの機微を、女性ならではの視点で絶妙に描いているのです。
宮尾版『平家物語』も面白かったですが、それ以上だと思いました。
さて、この本は今年度のNHK大河ドラマ『篤姫』の原作になっています。驚いたのは、原作にはホームドラマ薩摩編が無かったこと。ドラマと原作ではやや趣が違いますが、個人的には原作に登場していない肝付尚五郎(小松帯刀)がどのように絡んでくるかが楽しみです。

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April 02, 2008

何年も探していた本をついに手に入れました。
それもインターネットで。
ダンボールの箱を開けてその姿を見た時には、思わず「おぉっ!」と叫んでしまいました。
絶版になっている本なのでなかなかのお値段なのですが、今回は箱がかなりやけているということで相場と思われる値段の半値以下。しかし、中身にはほとんど損傷がありません。読むには全く問題ありません。
今回利用したのは佐藤書店さん。丁寧な対応をしていただきました。
普段は便利な世の中も良し悪しだと思っていますが、今回ばかりはインターネット万歳!!
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January 24, 2008
大好きな阿部寛さんが個性的な名探偵を演じる医療ミステリーらしい、ということで気になった『チーム・バチスタの栄光』。原作は第4回(2005年)『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した海堂尊氏による同名の小説です。映画を観るか観ないかはともかく、原作を読んでみました。
この小説の魅力はどこでも言われていることですが、登場人物一人ひとりが個性的であることです。主人公で本作品のあとシリーズ化されているらしい神経内科医の田口先生と厚生労働省大臣官房秘書課付技官・白鳥氏のコンビをはじめ、本作品のキーパーソン・天才外科医の桐生先生とチーム・バチスタの面々、田口先生の不定愁訴外来を陰に日向に支えるベテラン看護師藤原さんや、敏腕でおちゃめな高階病院長、皆さん本当にキャラが立っていて(古い表現ですかね)チャーミングなのです。まさに映像化された作品を見たくなるキャラクター設定です。
著者はお医者さんなのだそうで、手術シーンなどは臨場感があり引き込まれます。大学病院の構造は笑えますが、看護師の寿退社(?)や医師不足など笑えない現実的で笑えない部分もあり。個人的には医療ミステリーでもありますしもう少し重厚感のある方が好みですが、さらさらと読めて面白いミステリー小説でした。

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December 30, 2007
ダライ・ラマ法王を愛する友人に薦められ、たかのてるこ著「ダライ・ラマに恋して」を読みました。
ふつうの(?)OL・たかのてるこさんが大失恋をきっかけにダライ・ラマ法王に会いに行こうと決意して、チベットや”リトル・チベット”と呼ばれるインドのラダックを訪れながら、チベットや仏教について知り、ついにダライ・ラマ法王との対面に至るというエッセイ。
作者たかのてるこさんは私と同世代の女性ですが、とにかくパワフルでアクティブ。ダライ・ラマ法王に会いたいと思って会いに行ってしまう行動力に感服します。
楽しく読んでいるうちになんとなく因果応報について考えたり、自分の前世は何だったのだろうと想像したり、来年はもう少しいい人になってみようかと思ったり。
ダライ・ラマ法王に興味が無い方でも面白く読めますし、ちょっと興味はあるけれど難しい本を読む気はしない方の入門書代わりにもなるかもしれません。

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October 20, 2007
毎週楽しく観ているNHK大河ドラマ『風林火山』。原作の井上靖著『風林火山』は短くて読みやすいさらりとした歴史小説です。ですから、ドラマはだいぶ脚色していると感じるのですが、武田信玄について詳しく知らないのでどのあたりがフィクションでどのあたりが史実なのか分かりません。そこで少々お勉強も兼て『軍師山本勘助 語られた英雄像』を読んでみました。
この本は武田氏研究の第一人者(と帯に書かれている)笹本正治氏の著書で、かなり硬派で読み応えのある一冊でした。この本の趣旨は「山本勘助を理解する根本資料とされる『甲陽軍鑑』を読むこと」であり、「山本勘助という人物を通して、中世から近世への転換の一端を確認」することなのだそう。読んでいるとたしかに、ドラマ『風林火山』の背景、戦国時代の、信長、秀吉、家康が活躍する少し前の情勢などが見えてきます。他の資料と比較をし、『甲陽軍鑑』が記された意図の考察なども加えながら、繰り返し『甲陽軍鑑』で描かれている山本勘助像(一般的な山本勘助像)は事実という点では疑わしいと主張され、山本勘助の実態と伝承についてさらなる研究が必要だと結ばれています。
武田信玄と山本勘助はセットで英雄として語られるという記述を見た時、時代は違いますが義経と弁慶が頭の中に浮かびました。虚実は別として、生き生きと語られる歴史物語は面白いものです。少しずつ知識を加えながら、様々な角度から歴史を見ることができるともっと楽しいだろうな、と思いました。

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June 28, 2007
糸井重里氏プロデュースの『ゲドを読む。』を読みました。
『ゲドを読む。』は糸井氏の言葉で言えば「文庫本のかたちのフリーペーパー」です。フリーペーパーですから無料です。『ゲドを読む。』を読んで『ゲド戦記』に興味を持ったならば本やDVDを買ってください、という目的の広告なのです。しかし『ゲドを読む。』はただの広告ではないのです。有料の文庫本や雑誌と同じくらい面白いのです。
なぜ面白いのか。その理由は、原作『ゲド戦記』が読者に多くの刺激を与える素晴らしい作品であり、本書では刺激を受けた各分野の専門家が独自の視点で『ゲド戦記』を簡潔に語っているからではないかと思います。
どのような専門家が何を書いているのか一部をご紹介すると、最初に人類学者中沢新一氏が「『ゲド戦記』の愉しみ方」を(おそらく)書き下ろしています。それから、様々な場所で紹介された『ゲド戦記』論が掲載されています。例えば、臨床心理学者河合隼雄氏による「『ゲド戦記』と自己実現」、原作の翻訳者清水真砂子氏の「もうひとつの風を待つ。―『ゲド戦記』映画化にむけて」などです。あまり長くはありませんが、どれも興味深く味わい深い『ゲド戦記』論でした。
とても面白い『ゲドを読む。』ですが、原作を読まないと100%理解することはできません。この一冊をフリーにして原作やDVDを買わせるという作戦に、私は乗せられてしまいそうです。
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May 24, 2007
最近ちょっとハマっているのが畠中恵さんの『しゃばけ』シリーズです。『しゃばけ』シリーズは、江戸の廻船問屋の若だんな・一太郎が、愉快な妖(あやかし)達と共に不思議な事件、難事件を解決していく物語。第一作目の『しゃばけ』は2001年度のファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作でもあります。
主人公の一太郎は十七歳。江戸の大店、廻船問屋兼薬種問屋・長崎屋の若だんなです。ですが、病弱なために、両親は一太郎を”大福を砂糖漬けにしたような物凄い甘さ”で甘やかし、一太郎は外歩きもままならないほど。そんな子どもの頃から病弱だった一太郎のために祖父が連れて来たのが妖の佐助(犬神)と仁吉(白沢)で、一太郎は佐助、仁吉、その他鳴家や屏風のぞきなどなどの妖達の力を借りながら、様々な事件を解決していくのです。
この設定に、「ん!?」と思われませんでした?
そう、なんとなく雰囲気が今市子さんの『百鬼夜行抄』に似ているのです。これは二作目『ぬしさまへ』のあとがきで、藤田香織さんも触れています。もちろん似ている似ていないに関係なく、『しゃばけ』シリーズは十分魅力的。束の間、江戸にタイムスリップして、妖達と戯れてみてはいかがでしょうか。

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April 26, 2007
読んでみました、2007年度NHK大河ドラマの原作『風林火山』(井上靖著)。
僅か285ページ、さらりと読めて面白い、品のいい歴史小説もしくは読みやすい日本文学といった印象の一冊でした。
NHK大河ドラマと切り離して読むべきなのでしょうけれど、すっかり私の頭の中では内野勘助、亀ちゃん晴信、柴本由布姫が映像化(原作の勘助と内野勘助は容姿がだいぶ違うのですけれどね)。十二章までは大きく感情を揺さぶられることなくひたひたと読み進み、クライマックスの十三章。川中島の戦い。頭の中では大河ドラマの主題化が流れ、内野勘助の、亀ちゃん晴信の、そしてGackt謙信の雄姿が浮かび、一人で感動の涙を流しておりました。
あちこちで言われている通り原作とドラマでだいぶ違いはありますが、原作はあくまでも骨。一年間視聴者を楽しませるために、ドラマには肉を盛り血を流し、皮膚の上に化粧もして生き生きと映像化させているのでしょう。原作は原作で、ドラマはドラマで二度楽しめる作品だと思いました。

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January 19, 2007

家から東京へ電車(新幹線も含めて)で行くと、最速で片道3時間弱かかります。なので、いつも本を持って電車に乗ります。今回は自由なランナーさんが紹介していた『ウェブ人間論』(梅田望夫 ・平野啓一郎 著 新潮社) を持って行きました。
新幹線の後ろの席に座った知的なおじさん(スイマセン)と青年が、私のようなインターネット依存傾向の人間が聞き耳を立てたくなるようなちょっとマニアックで刺激的な話をしていて、なんとなく2時間聴いてしまった、そんな感じでした。例えば、”SNS(Social Networking Service)やブログをやっている人達には現状に満足していない人が多いと思われる”なんて言われちゃうと、どちらもやっている私としては耳がおっきくなっちゃう訳です。
面白いのはこの二人、青年がわりとインターネットに関してネガティブな視点で、おじさんがめちゃめちゃポジティブな視点で話をしていること。「第二章 匿名社会のサバイバル術」の中で、青年はブログに書かれている印象と実際に会って喋る印象とのギャップを「齟齬」と表現するのに対して、おじさんは「ああ、この人ってこんなすごいところがあったんだ」「こんな違う面もあったんだ」(p81)と思うと反論する、など。
心の中で賛成したり反論をしたりしながらお二人の議論を聴き、自分はなぜブログを書くのか、自問自答していました。「食う♪読む♪歩く♪」は公開型の覚書のようなつもりで始めましたが、現在はブログを通して様々な方とお知り合いになり、情報交換もさせていただいているわけで。
答えはまだ出ませんが、ウェブと共に私自身も進化していきたいなぁ、と思ったのでした。
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November 23, 2006

岡本太郎氏の秘書であり、後に養女になった岡本敏子さんが、太郎氏の鮮烈な言葉に解説を付けた本です。白黒ではありますが、太郎氏の写真や作品も挿入され、小さな文庫本の中に岡本太郎氏が凝縮されていて、読んだ私の中で岡本太郎ワールドが爆発。生きる元気と勇気が湧いてきました。
例えば「自分でコントロールできない意識なんて無い。気が付けばいいんだ」(p204)なるほど、気付けばいいんだ、と目からウロコでした。パリで哲学、心理学、民族学など様々な分野を勉強したという太郎氏。衝撃的なだけでなく哲学や思想が隠されている彼の作品や言葉。私は岡本太郎初心者ですが、もっともっと彼のことが知りたくなりました。
『明日の神話』、日テレの公開は見逃しましたが、早くどこかで一般公開してほしいものです。
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July 25, 2006
昨夜読み終えた『ハリー・ポッターと謎のプリンス』、しばらく興奮して眠れませんでした。前作前々作はあまり面白いと感じず、もう次を読まなくてもいいかもしれないと思っていたのですが、今回は凄かったです。面白いかと聞かれると微妙ですが、特に下巻は魔法にかかったように、読まずにはいられずに一気に読みました。
この先の暗い展開が想像できてしまい、最終巻は読みたいような、読みたくないような気分。
坊主ちゃん、貸してくれてありがとう♪

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July 19, 2006
電車で読む本を探していて目に入った『即戦力の磨き方』(大前研一著 PHP研究所) 。ビジネス書って案外面白く、パート主婦にとっても参考になります。
著者も本文中で述べていますが、即戦力になるような具体案はあまり書かれていません。「何事もまず自分で考えることから始めてもらいたい」(p98)とか、「いま自分の人生にどこか不満を感じている人は、幸せになるための勉強が足りないのだ」(p133)とか言われてみればごもっともなことばかり。明日の即戦力には結びつかないけれど来年の即戦力にはつながる、そんな力の付け方の指南書、もっと大きく人生の指南書とも言えるかもしれません。
とりあえず自分はどんな人生を歩みたいのか、そのためにはどうすればいいのか、真剣に考えようと思いました。が、考えても簡単に将来の設計図って描けるものではないわけで。やはり、時間はかかっても、自分にも他人にも誠実に生きていくことが大切なのだという自論に落ち着いたのでした。

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July 04, 2006
現在公開中の映画『佐賀のがばいばあちゃん』の原作を読みました。
島田洋七氏(昭和の漫才コンビB&B:同世代以上の方は分かりますね)が自分の少年時代のエピソードを書き綴った作品です。
昭広少年(=洋七)は家庭の事情で小学2年生から中学3年生まで佐賀のばあちゃんに預けられます。とにかくこのばあちゃんが”がばい”(=すごい)。戦争中にご主人を亡くし、掃除婦をしながら五女二男を育て上げ、さらに孫まで預かって育てます。数年前、91歳で大往生。まさに昭和を逞しく生きた女性なのでしょう。
ばあちゃんと昭広少年の生活はド貧乏。近くの川を”スーパーマーケット”と呼び、上流の市場から流れてくる二股の大根や曲がったキュウリをありがたくいただきます。おかずがあればいい方で、米もやっとの日や水道代が払えない日もあるのに、ばあちゃんはお客さんが来れば景気よくビールを振舞っちゃったりします。そんなばあちゃんの信条は「本当の優しさとは、他人に気づかれずにやること」。
「わびしさナンバーワンの、日本昔話に出てくるような茅葺きのボロ家だった」といった島田氏の語り口や、「うちは明るい貧乏だからよか」と胸を張って言うばあちゃんの明るさに笑わせられますが、それ以上に母を慕う少年の気持ち、周囲の人々の心の温かさ、ド貧乏生活の切なさに泣かされました。
「幸せは、お金が決めるものじゃない、自分自身の心のあり方で決まるんだ」とプロローグで島田氏は書いていますが、読み終えた後に振り返ると、実感がこもっていることがよく分かります。急げば立ち読み30分で読み終わるような字のまばらな本ですが、買って繰り返し読んでもいい一冊です。
→おさのばあちゃん語録

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May 04, 2006
『功名が辻』(司馬遼太郎著)、さらりとしていて旨みがある吟醸酒のような味わいの小説でした。
子どもの頃に何かで読んだ、”山内一豊の妻”が夫のためにへそくりで馬を買ってあげる話。賢妻とはかくあるべきといった教訓めいて、つまりませんでした。大河ドラマ化されると知った時も、(あぁ、馬の~)とは思ったものの正直あまり期待をしていなかったのですが、実際に見始めると案外面白い。早速原作を読んだのでした。
さて原作は、一豊のもとへ千代が嫁に来るところから始まります。時は戦国時代、くそまじめと運の良さだけがとりえの一豊が、しっかり者の千代におだてもちあげ支えられて、貧乏武士から一国一城の主に大出世する物語。一豊は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の三人に仕えたのですから、背景となる戦国絵巻が壮大なのは当然のこと。そこに一豊と千代夫婦の物語を織り交ぜて(いや逆か)、司馬遼太郎が軽妙な語り口でぐいぐい読者を引き込みます。とにかく作者と千代の一豊を馬鹿にした独白が笑えます。例えば一巻(p205)に(いやもう、こんな男がなぜのちに土佐二十四万石の太守にまでなったのか、筆者も書きながら、ふしぎでならなくなる)なんて書かれちゃったり、千代に(やはり、この人は、凡庸なのだ)(二巻 p99)と思われちゃったり。とは言え、作者も千代もその凡庸で愚直な一豊を愛しており、そんな人柄だからこそ彼は戦国時代を生き抜けたのでしょう。
子どもの頃、つまらないと感じた馬のエピソードも、司馬氏が料理すると絶品です。
大河ドラマは一豊や千代のキャラクター設定はそのまま(いや大河ドラマの一豊さまの方がかっこいいですね)、TVドラマ向きにかなりアレンジしてあります。特に、新右衛門と吉兵衛は一豊の10歳上でしかないことにはびっくり。今後は原作と大河ドラマ、比較しながら楽しみたいと思います。

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February 17, 2006
「美味しい」と言われれば、よほどのモノでない限り試したい派の私ですが、『全日本食えば食える図鑑』(椎名誠著 新潮社)には試したいモノも、試したくないモノもありました。
とりあえず、虫系は絶対イヤ!イヤ!イヤ!!!
怖いもの見たさでは、名古屋食。抹茶小倉スパ、とりあえず見てみたい。辛い物好きとしては、台湾ラーメンは試してみたい。
そして、食べたいのはエゾシカ。シカは絶対美味しいです。なのにエゾシカは、害獣として駆除されているにもかかわらず、食品としてあまり流通されずに、埋められて処分されるのだとか。もったいない。とは言え、食肉として有効利用しようという活動もあるそうで。ぜひ頑張って、内地の庶民の口にも入るようにしてほしいと思ったのでした。
しかし、椎名誠氏、年をとってもかっこいいなぁ。

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January 19, 2006
小川洋子著『博士の愛した数式』。素直に「この本はいい」、と言える一冊でした。
「ぼくの記憶は80分しかもたない」と背広の袖にメモを留めている64歳の博士と、30歳前の家政婦と10歳の息子の物語。彼らをつなぐのは、数学と阪神タイガース。小難しい数式と(私が好きな時代の)阪神タイガースのエピソードを織り交ぜながら、恋愛とか、シングルマザーとか、老いと死とか、そういったテーマをチラ見せされて、まいっちゃいました。読んでいると、胸の奥が温かくなって、また、じんわりと泣けてきます。
ただし、天才柳沢教授に通じるものがある、と思ったのは私だけではないはず。。。
まもなく、映画も公開になります。HPは美しく落ち着いていて雰囲気がいいですし、寺尾聰と深津絵里という配役も悪くないと思いますが、自分の頭の中のイメージが壊れそうなので、私は観ないつもりです。
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January 04, 2006
圧倒されました、『半島を出よ』(村上龍著)。
①本の厚さ。
②表紙のメタリックな色彩のヤドクガエル。
③登場人物の多さ(上巻135名、下巻90名)。
これだけで、一瞬怯みます。
2010年、北朝鮮軍(高麗遠征軍)に福岡が占拠される
…と聞けば、ありえないようで、ありえるかも、と思える話。
主役は、福岡の倉庫群に住むイシハラグループ。かつて爆破事件などを起こして暴れていたらしい、今は詩人などをしているイシハラと、彼が住まいを提供している、犯罪を犯したり、犯しそうになった少年達の集団。
準主役のイシハラグループが戦う高麗遠征軍の先遣隊コマンド9名は、北朝鮮の特命により、名目上反乱部隊と名乗り、祖国を捨てて、福岡に上陸する精鋭部隊。
他人と上手にコミュニケーションがとれない犯罪に親和性のあるグループと、殺人マシーンのような肉体と精神を持ち、将軍様に忠誠を誓う北朝鮮のテロリストグループという、どちらも共感できないような人達ですが、意外に共感できちゃうのは、さすが村上龍氏の腕前です。
多数の個性的な登場人物が活躍することに加えて、武器や建物の緻密で詳細な描写、政治・経済のエピソードが、現実感を高めます。例えば、アメリカが、アフガニスタン、イラク、イラン、シリアの民主化に失敗し、ドルが急落の後、円が急落。国債と株が暴落し、消費税率が17.5%になる。
北朝鮮のテロに対して、攻撃することも、交渉することもできないまま、日本政府は東京にテロリストが来るというウワサに怯え、九州封鎖を決める。
予想できないこともないワーストな日本の未来像、そこまで日本政府はバカじゃないと信じたい反面、日本の将来は大丈夫なのかという私達庶民のひそかな(?)不安を掻き立てます。
イシハラ曰く「国家というものは必ず少数者を犠牲にして多数派を守るものだ。」
さらにイシハラの言葉「このことだけは何度も言うし、大事なことだから一回しか言わないけど、多数派に入っちゃだめだよ」。
イシハラグループは、住民票を持たない、日本人であって日本人ではない集団。高麗遠征軍も、反乱軍でありながら反乱軍ではない集団。正規ではない集団、少数派が活躍するというのは大衆小説のセオリーかもしれません。少数派であることの大切さを謳う主人公の物語がベストセラーになるということに、「ナンバーワンにならなくてもいい」と歌いながらナンバーワンになりまくったSMAPの『世界に一つだけの花』と同じ矛盾を感じました。
最後に、村上龍氏、『13歳のハローワーク』にしても、『半島を出よ』にしても、ちょっと説教くさくて、年をとったのかしら。キライじゃないですけど。
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December 18, 2005
日曜日ですが、もう今夜は『義経』の放送がありません。。。
『宮尾本 平家物語』と共に大河ドラマ『義経』の原作となった『義経』(NHK出版)を読みました。
宮尾登美子さんが義経について語る軽めの読み物で、大河ドラマ『義経』の義経に関する部分の基となっており、さらりとおさらいするのにいい感じです。
幼子3人を連れて雪道を歩く常盤御前…稲森・神木コンビは絵のように美しかったなぁ、とか。
渡哲也の清盛公は人間味があったなぁ、とか。
もちろん、”うつぼ”ちゃんは登場しません。
これを読むと、今回の大河ドラマ中の義経像を理解できるような気がします。
例えば、「大きな愛情で自分を抱擁してくれる、と感じられる大人には、心ひそかに父の匂いを感じ取り、甘えたい気持ちになったことでしょう」とか、
「義経といえば無敵の英雄、と誰しも思い浮かべますが、甲冑を脱いだその下は、とてもさびしがりやの、人と人とのぬくもりを欲しがる一人の男だったのかも知れません」など。
タッキー演じる優しく、夢見がちで、情の人だった義経くんと、ぴったんこつながります。大河ドラマでは、英雄ではなく、一人の男性としての義経を描きたかったのですね。
宮尾登美子さんが義経生存説をとらなかった理由も書かれており、個人的には今回の大河ドラマでは義経主従には生き延びてほしかったのですが、まぁなんとか納得しました。

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November 21, 2005
『ガラクタ捨てれば自分が見える』風水整理術入門(カレン・キングストン著 田村明子訳)を読みました。
著者の主張は、明快。「身のまわりの整理整頓をすることによって、人生の整理整頓を行なうということ。」
もう少し詳しく言うならば、不要なガラクタ・いらない物を溜め込むと、エネルギーが滞り人に悪い影響を与えるから、不要なガラクタを整理しましょう、ということ。
ごもっとも、です。
片付けなくちゃと思いつつ、片付けられない物、物、物。
この本を読むと、そんな物を片付けてみようかしら、という気分になります。そして、いつか使うかもしれない、思い出の品だから捨てられない、などのこだわりや罪悪感ごと、さよならすることができます。
というわけで、私もいくらか片付けをしてみたのですが、さすがガラクタは手強い。かなり捨てたつもりでも、部屋全体の見た目は全然変わりません。もっと大掛かりに捨てなきゃいけないのかと思うと、う~ん、大掃除か、次の引越しがチャンスかしら。
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September 19, 2005
宮尾本平家物語(全四巻 2,243ページ)、を読み終えました。
一巻(青龍之巻)は赤、二巻(白虎之巻)は緑、三巻(朱雀之巻)は黄、四巻(玄武之巻)は紫の地に、蓮の花が描かれた表紙の装画・装丁、目に鮮やかです。あとがきに「平家物語原本の大きな魅力のひとつには、文章の美しさがありますが、私はそれをなるべく伝えたいと考え、敢えて残しました」とあるように、原文、もしくは原文に近い文章や、古典的な表現が用いられ、それらが現代語と相俟って、宮尾本平家物語ワールドを構築しています。
例えば、有名な那須与一の一文、
「与一鏑をとッてつがひ、よッぴいてひやうどはなつ」(小学館 日本古典文学全集 平家物語 二)は、
「与一は鏑矢をきりきりと番え、ぐーっと引絞ってからひょうと放つ」(宮尾本平家物語 四)
といった具合です。
私が一番好きな巻は、若き日の清盛が、面影の母を慕ったり、出生の秘密に戸惑ったり(白川天皇の御子説をとる)、恋愛をしたり、家長として一門をまとめていったりする一巻。清盛の青春編、とでも言えましょうか。
先にも述べたように、古典と現代文の混ざり合った文体が独特な雰囲気を出しているのですが、特に美しく感じたのは、「二巻 安元の賀」の章、維盛が「青海波」を舞うくだりと、平家一門の人々を花に喩えた「花揃え」。「四巻 名残の管弦」で、都落ちした平家一門が、荒れ果てた福原の邸で管弦の宴を催す場面も、寂々とした中に美しさが漂います。清盛が亡くなる三巻、平家が滅びる四巻は、涙ぐみながら読みました。
『宮尾本 平家物語』を読むと、大河ドラマ『義経』のキャラクター設定がよく理解できます。特に時子は、松坂慶子のイメージそのままに読むことができました。お徳は、一巻から小雀の徳という若い娘で登場し、清盛と若い頃からの顔見知りであったことが分かります。驚きは丹後局で、後白河法皇が鳥羽殿に押し込められた時に、「齢三十に近い成熟した女房」だ、ということ。この時、側にはもう一人年老いた右衛門佐という乳母が仕えており、この二人を足し合わせて妖怪キャラクターになったのかと思われました。
テレビ脚本の遊びが感じられたのは、義経の正妻の名前。『宮尾本』では良子(よしこ)ちゃんなので、萌ちゃんとはディレクターの方の趣味でしょうか。妹の能子(よしこ)と読み方が重なるため、萌ちゃんにしたのでしょうけれど。
読後、久々に大作を読んだ満足感を味わうとともに、これだけの長編を書き上げた後というのは、作者はどのような心境なのかしら、と想像したくなる、そんな作品でした。
参考・引用
『宮尾本 平家物語』一~四巻 宮尾登美子著 朝日新聞社
『日本古典文学全集 平家物語』一、二巻 市古貞次校注・訳 小学館
NHK大河ドラマ公式ホームページ http://www3.nhk.or.jp/taiga/
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August 24, 2005
職場で見つけた『夜回り先生』(水谷修 著)。
一時間足らずでしたが、仕事そっちのけで、黙々と読んでしまいました。
文体は易しいですが、内容は重かったです。
夜の街で過ごす子ども達との、水谷先生の命をかけた関わりは、
誰も真似できないし、真似るものでもないでしょう。
でも、水谷先生の子ども達への「思い」は、かけら程度かもしれませんが、
私も持っていたい「思い」です。
お父さん、お母さん、先生、それから、
「ドラック?暴走族?非行少年?自分とは関係ないよ」
と思っている大人の方にも、ぜひお薦めしたい一冊です。
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August 18, 2005
『この文庫がすごい!』2005年版のミステリー&エンターテイメント部門一位、ということで、『99%の誘拐』(岡嶋二人著)を読みました。
殺人の無い本格ミステリーといった雰囲気で、怖がりの私には最適。コンピューターを駆使した犯罪なのですが、なんとこの作品1988年に初版されたらしいのです。実に今から17年前!16ビットパソコンとか、音響カプラーを使って公衆電話からチャットをするとか、懐かしい響き。当時としては、最先端だったのでしょうね。第十回吉川英治賞をとっているのですが、社会派っぽい匂いもして、松本清張賞でも良かったのでは、と思ってしまいます。でも、清張賞にしては、設定が斬新で、結末が軽すぎたのかしら。
もう解散してしまった岡嶋二人氏。今まで読んだことがなかったのですが、とりあえず、『クラインの壷』『おかしな二人』は読んでみたいかも。
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June 14, 2005
タイトルと裏表紙(文庫本)から,SFだと思っていたのですが,びみょーにSFくさいのですが,でもSFではないようです。やはり,三島由紀夫賞受賞作なのです。
別に舞城王太郎が好きなわけではない,というか,暴力的で好きじゃないのですが,今回も読み始めると止まりません。
なんなんだ,この読点の無い文章は!カタカナ英語は!!ぶっとんでいるストーリーは!!!
とブツブツつぶやきシローになりつつ,最後まで読んで,う~ん,と唸ってしまいました。
舞城作品の特徴か,女の子が主人公ですが,ハードボイルド。訳わかんないけど,哲学を感じさせるあたり,さすが春樹チルドレン。主人公の自己チユ―ワールドで,佐野も,アルマゲドンも,グルグル魔人も,結局どーでもいいんだよね,の自己完結なのでしょうね,きっと。
と,私も,自己完結。
『阿修羅ガール』舞城王太郎著
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May 07, 2005
噂のMaijoを初体験,『煙か土か食い物』(舞城王太郎 講談社文庫)を読みました。
一言で言えば,イヤミなヤツ。ダンテとか言っているし,英語使っているし(それもカタカナで!!)。まぁ,名探偵は古今東西イヤミなヤツと相場が決まっているけれど,作者がイヤミな感じなのよね。これはミステリー?と思うほど,暴力シーンが多いし。痛い。ハヤカワ・ミステリ文庫にありそうな,海外のハードボイルドミステリーっぽい雰囲気は,カッコイイけど。
で,私の好みじゃないのだけれど,結局,一気に読んでしまいました・・・。嫌いなタイプなのに,惹かれる,みたいな?これって,ハマルとヤバイパターンよね。
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April 27, 2005
ブログを書く間も惜しみ,『終戦のローレライ』(福井晴敏著 講談社文庫)を読みました。
映画の宣伝の段階では,戦争&潜水艦モノに興味なし,という気分だったのですが,『文学賞メッタ斬り!』で「史上最大最強のガンダム小説」との評を読み,ガンダム好きのハートに火をつけられて,買いに走りました。
読み始めたら,止まりません。戦争モノって好きじゃないのですが,続きが読みたい!と,次々ページをめくってしまいます。悲壮感が漂っていて,ボロボロ涙はこぼれるし,花粉症と相俟って鼻水も止まらないし,辛いのですが,合間に笑わせてくれる部分もあり,うわっグロい,と思う場面もあれば,ほのぼのな場面もあり,物語の展開が巧みで,読ませるのです。キャラクターの描写も詳細で,大勢いる登場人物それぞれが,いわゆるキャラがたっている感じ。一人一人が魅力的で,感情移入できるのです。
とは言うものの,潜水艦用語や数字が連発される部分は苦手で,読み飛ばしていました。潜水艦用語と数字とドイツ語が無かったら,文庫本3冊で収まったのでは・・・。それから,終章。cooさんの意見に賛成で,くどいというか,無くていいかも。読者は本編から,終章で筆者が言いたかったことを感じとっているでしょう。
ぽうせさんが「宇宙戦艦ヤマト」っぽい,とおっしゃったのも分ります。戦艦とキャラの濃い軍人さんがいっぱいでてくるせいか,私は,田中芳樹の『銀河英雄伝説』を思い出しました。桔梗屋さんが映画の感想で「、“パウラと征人” の設定が 「ラピュタ」 の “シータとパズー” にそっくり」とおっしゃるのは,小説でも感じます。とくに,二人で見張りに上がったあたり(*^^*)
小説を読み,HPを見ると,映画版観てみようかな,とちょっと思いますけど,やはりDVDか地上波にしておきます。役所広司の絹見とか,堤真一の朝倉とか,おっ,清永は佐藤隆太!とか,配役はかなり魅力的ですけど.《伊507》をスクリーンで見たい気もしますけど。
フリッツに萌♪の私としては,映画「ローレライ」にフリッツがいないのは,寂しいような,ホッとしたような。頭の中で極度に美化しているため,フリッツ役に合う役者さんが浮かばないのです。勝手なイメージとしては,藤原竜也君とブラット・ピットを足して,福山雅治で割ったような感じでしょうか??
こんなにワクワクしながら,本に夢中になったのは久しぶり。とにかく,ローレライに魅了された数日でした。
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April 19, 2005
一年前に発行され,Web上で話題になったらしいのですが,知らずにおりました「文学賞メッタ斬り!」(大森望,豊崎由美著 PARCO出版)を,今ごろ読みました.
まさに,本を買わせる本!(数冊購入予定です・・・)情報量がハンパじゃありません.読んだことのある作品もあれば,気になっている作品,知らなかった作品や作家もたくさん載っています.現代の文学賞,及び小説,作家の俯瞰図となる一冊です.
そして,とにかく面白い!大森氏,豊崎氏ご両人,千人斬りの勢いで,文学賞も小説も作家も,とにかく斬りまくっています.ここまで言って大丈夫?と余計な心配をしたくなるほどの毒舌.小説好きならば,気分が悪くなるか,かなり笑えるかのどちらかでしょう.
私は”シンちゃん”の芥川賞選評,好きなんですけどね(^^;)
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March 24, 2005
映画「オペラ座の怪人」の流れで,「オペラ座の怪人」(ガストン・ルルー著 長島良三訳 角川文庫)を読んだ.感想としては,この小説をミュージカル,そして映画にしたアンドリュー・ロイド=ウェバーが凄い,という感じ.アンドリュー・ロイド=ウェバーは,ガストン・ルルーが小説に練り込んだ,不気味さ,豪華さ,美しさを,見事にビジュアル化し,「オペラ座の怪人」の世界をリアリティをもって描いている.
小説版の面白いところとしては,シャニー子爵の兄や謎のペルシャ人が物語の重要な役割を担っているところや,オペラ座の地下のからくり(?)や描写だろう.
しかし,読み終えるのに数日かかってしまった.小説版は何種類か出ているが,他の訳者で読むと,また違うのかもしれない.原語で読むのが一番なのだろうけど・・・
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March 10, 2005
私の記憶に残る最初の仏像は,平泉中尊寺の讃衡蔵にいた仏像だ(と思う).薄暗い建物の中に何体かの大きな仏像(”丈六仏”と「見仏記」にある)がいて,小学生の私を圧倒した.仏像ってイイ,と感じた.
思春期の頃,初めて奈良へ行き,中宮寺の弥勒菩薩半跏像に惚れた.この仏像の前に何時間でもいたい気分だった.
学生の頃,学会で京都へ行き,学会をさぼって寺社仏閣を巡った.一番感動したのは三十三間堂で,大勢のブツ(仏)に呆然とした.ここへは絶対また来る,と心に誓った.
そんな今までの仏像達との出会いを振り返らせてくれたのが,ナエマさんに紹介していただいた「見仏記」(いとう せいこう・ みうら じゅん著 )である.この本,ライトな仏像紀行で,面白い.ふんだんに盛り込まれたみうら氏のイラストと,いとう氏の軽快な文章にのせられて,一気に読み進む.が,実は仏像に関する知識満載,宗教と政治論まで語られていて濃厚だ.一気に突っ込んでのラスト「三十三年後の約束」は,小説家いとう氏の味が濃く出ていて,少し寂しく,爽やかな読後感を残した.
思えば最近,ブツ(仏)に会っていない.京都・奈良へも行きたいが,まずは岩手の成島毘沙門堂へ行きたいものだ.
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February 24, 2005
ずっと気になっていた「13歳のハローワーク」(村上龍著)を,ついに買った.ハードカバーで,ずっしりと重みのある本.目次を見ると,いろいろな仕事・職業のあることが分り,ワクワクする(例えば,マジシャン,豆腐職人,帽子デザイナー,など).ページをめくれば,はまのゆかさんの,優しくて,かわいらしい絵に惹きつけられる.13歳の子が見たら,将来の夢や希望が広がるだろう.
しかし,内容は易しくないし,優しくない(ところもある).まず,自分と夫の職業の欄を読み,むむむ~っ,と唸る.次に「はじめに」を読み,私自身の生き方が問われているように感じ,胸が苦しくなった.あらためて表紙に戻れば男の子は歯を食いしばっているし,女の子はうつむいている.職業選択って,甘くないのだ,と思わされる.それでも,興味のある職業の項目を読み,はまのさんの絵を見ていると,諦めずに自分の好きなことを探す元気が湧いてくる.ほら,裏表紙では,二人が笑っている!個人的には,「何も好きなことがないとがっかりした子のための特別編」が好きだ.「13歳が20歳になるころには」も,読んで考えさせられる.13歳には13歳の理解が,30代には30代の理解ができる内容になっている.
「13歳の」と言っているが,子どもだけでなく,就職時期の若者,転職を考えている人,定職に就いている大人も,読んで損はない一冊だ.隅から隅まで読むのは大変だし,値段も安くないので,「はじめに」と「おわりに」,興味のある職業の項目を立ち読みするだけでも,自分の生き方や自分の仕事について考えるヒントが得られるかもしれない(村上さん,はまのさん,本屋さん,ごめんなさい).
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February 04, 2005
「歌の翼に ピアノ教室は謎だらけ」菅浩江著,を読んだ.ピアノ教師杉原亮子先生と教え子の子供達,亮子先生を取り巻く人々とが繰り広げる音楽ミステリー.おっとりしているのに鋭い亮子先生が小さな謎を解く短編集なのだが,一つ一つの話がつながり,最後には亮子先生の悲しい過去が明らかになる.個人的には第一話「バイエルとソナチネ」に出てくるダイチ君と松ぼっくりのエピソードが好きだ.殺人事件の起こらない,音楽の聴こえてくる,ちょっと異色のミステリーである.
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January 07, 2005
遅ればせで「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」を読んだ.巷の一部で
言われているほど悪くはないが,帯にあるような「シリーズ最高傑作!!」
というほどでもないかな,というのが感想だ.
まず長い,というか冗長だ.複雑な複線と,翻訳では面白味が十分伝わ
らないと思われる言葉遊びはハリー・ポッターシリーズの持ち味だが,そ
れにしてももう少し簡潔にしてもいいのではないか.それでも,次が気にな
るストーリー展開に,特に下巻はぐいぐいと読み進んだ.
魅力は,具体的(な部分もある)で読者の想像力を刺激する描写だろう.
第一にバタービール,これはぜひ飲んでみたい!
さらに今回初登場のアンブリッジ先生は,容姿,表情,行動,罰則,その全てに
おいて本当に憎憎しげに描かれていて感心してしまう.そして,対抗する双
子のウィーズリーの悪戯の痛快なこと!反面,シリウスの描き方,チョウと
ハリーの恋,最後のダンブルドアからハリーへの説明は,中途半端な感じが
する.(作者はチョウよりアンブリッジ先生の方が好きなのかな,と勘ぐってし
まう.)特に結末は,次に続くためにそうなるのは分るが,前作までのキャラクター
を考えると,それでいいのか?と疑問符がつく.まぁ,シリウスもダンブルドア
も完璧ではない,ということなのだろうが.
最後に,森林保護のため,本文には再生紙が使われている,とあるが,地
球環境への影響を極力抑えたいと考えるなら,立派なハードカバーではなく
ペーパーバックにするべきでは,と考えるのは私だけではないだろう.
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